県庁の星(ネタバレ注意!)
期待した程度の作品でした。と書くと悪い意味に聞こえるけれども、これは逆。劇場での特報が的を射ていたんでしょう。きちんとその通りのドラマが展開されました。
エリート官僚の織田裕二が挫折して、その反動で非官僚主義に目覚めてスーパーを立て直すと言う、「スーパー」と「官僚」というキーワードを与えられれば真っ先にこういうドラマが思いつくだろうというバリバリ型にはまったドラマです。
でも面白いんだな、これが!
ストーリーでは裏切り続出ですが、キャラクターや展開は予想通りに進んで行くのです。ここまで予想が当たると、原作(脚本、ストーリー)が平凡としか言いようがない。なのになぜ面白いのかというと、織田裕二にあるといっておきましょう。
固い表情の”県庁さん”と、野村聡。グレーゾーンの”県庁の野村さん”。その3つを境目なしにごく普通に変化させていった技術はなかなかのもので
しょう。”県庁さん”から”県庁の野村さん”に変化するときには、婚約者に裏切られるという大きな挫折が存在し、野村くんにとってそれは裏切りに近いもの
でありました。たぶん、織田裕二の技術ならばごく自然に心中(notしんじゅう)を表現できると思うのに、わざわざ彼の心の中を示すかのように夜の大雨で
泣き出したり、酔っぱらって二宮の家に押し掛けるような表現は大変にまずかったと思う。ドラマのながれとしてはどうなのよ。
なだらかな下り坂を描いてドラマが進んでいるのに、女にふられた時点でがくんと下へ落ち込み、雨中シーンで、さらに急カーブを描いて落ちる。こ
んなの見え見えで味わいも芝居もクソもない。人の心の動きを、大きなさざなみを見せずに表す方法はなかったのかな。こういうところにストーリーの稚拙さを
感じてしまうのです。
それに加えて、婚約者の変節と、野村との親密度の描き方があまりに甘い。甘すぎるために、女にふられた時の野村の嘆きがこっけいに見えてくる。「そんなに好きだったの?」と。
その女も女だ。「楽しいノムくん(野村)を見ているのが楽しかった」ってそれだけの理由で婚約者をふるとは理解できん。
短めな三行半に、女の冷たさを感じたし、「口ではいろんなこと言ってるけど、お前こそエリート官僚としての野村にこそ興味があったんじゃないか」と言いたくもなるのだ。
実は女はすごく野村に惚れていて、もっとかまって欲しかったのかもしれないが、それにしてもウェディングドレスを選んでいるとき、上の空だった野村だけで、「アナタには興味がなくなった」というのは酷だろう。
このあたりの解釈が不明であり、「なにがなんでも柴咲コウに結びつけなきゃ」という意図を感じてしまうのでした。
もう一つ、井川比佐志は消防法第八条なんてなぜに知っていたのだ?
ご都合主義か?
以上、書き込みがかなり甘かったです。
民間の心をつかんで行く野村とは逆に、官僚主義へと歩む知事は多分の野村との対比になっていたのでしょうね。
柴咲コウ、織田裕二、そこそこよかったけれど、石坂浩二のふてぶてしさ、薄汚さを身につけていく美しい酒井和歌子が登場時間の少なさの割には強い印象を残してくれました。
特に石坂浩二がよかったなぁ。
近頃テレビドラマにもよく出るようになって、意外といい役者なんだな、と感じています。
そのくせおもしろい。
2時間も見ていたなんて思えないくらい楽しかった。
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